【伝承】インタビュー 「“協調”できる強靭な国際人を作る」 ④

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「“協調”できる強靭な国際人を作る」 ④

木原 隆司(きはら たかし)獨協大学経済学部教授

木原先生は、1980年に大蔵省(現財務省)に入省されて以来、さまざまなグローバル交渉を担当されてきました。その他、外務省、米州開発銀行、アジア開発銀行研究所等の国際機関、長崎大学・九州大学等の研究・教育機関での多彩なご経験を経て、現在は獨協大学経済学部で強靭をとられています。
今回は、長年にわたって国際交渉を積まれたご経験を踏まえ、「グローバル人材育成」をテーマにお話を伺いました。
木原研究室のホームページはこちら

インタビュアー:河合朋奈

強靭な国際人

河合:最後にもう一つお聞きします。ホームページに「強靭な国際人の育成に努力したい」とありましたが、この「強靭な」という言葉に込められた思いは何でしょうか。

木原:負けない人ですね。へこたれないというか、色々なことがあったとしても自分のやるべきことや考えを曲げない人。私が強靭な国際人だと思う人々がオランダ人とベルギー人なんです。国自体は大きくないけれど、まわりにヨーロッパの大国があって、その中でも彼らはまわりと上手く付き合いながら自己主張をずっと続けているわけです。彼らこそ、へこたれない人々だと思います。

河合:小さい国だからこそ上手くやっていかないと負けてしまうからですよね。やはり、「協調しながら」というのがポイントなのでしょうか。

木原:そう、協調しつつ、自分の主張は主張として通す。そういう意欲・能力・語学力を持った人がまさに「強靭」だと思います。やはり、以前交渉で嘘をつかれた経験が大きいと思います。なんで自分の主張を通さないで、相手国の利益を優先するんだろう、と身内のことながら理解できなかった。そういえば、ジュネーヴ時代にお世話になった外務省の上司,藪中三十二さんの交渉力はすごかった。

河合:どのようなところが「すごかった」のですか?

木原:一言で言うと、「脅しすかし」(笑)。ある政府調達交渉で、日本、特に当時の建設省にとって不利な条件を提示され、日本の主張を通すのが難しい状況だったんです。そこで、優秀な交渉官として有名だった藪中さんに交渉をお願いすることになったんです。まさに頼みの綱でした。実際に彼は交渉の場面で、ものすごい剣幕で相手を圧倒し、相手がタジタジとひるんでいるところでふっと引き、相手が何か言い出したら再びマシンガントークを繰り広げ、というのをしばらく繰り返し、最終的に相手が降参しました(笑)。

河合:飴と鞭を織り交ぜた交渉という感じでしょうか。

木原:そうそう、飴と鞭。究極的に言うと、藪中さんみたいに、自分の主張を曲げないだけの論理と意欲と語学力を持っている人が必要ですね。

河合:そういう人こそが「強靭な国際人」なのですね。では、どうしたら日本人は、協調しながら自分の主張を通せるようになると思われますか、

木原:やっぱりまずは経験することが必要だと思います。

河合:海外に出ていって経験するということでしょうか。

木原:海外に出て行ったり、日本に来ている異なる価値観や文化的背景を持った人々、まさに貧富の差もあれば教育の差もあれば考えの差もあるような人々と接する機会を沢山持つことですよね。そうすると違いに気付けるし、私が経験したように嘘をつかれることもあるでしょうし(笑)、そういう経験を通して少しずつ賢くなっていくんだと思います。

河合:そういう教訓を確実に生かしていく、むしろ糧にするぐらいに?

木原:そうですね。

河合:これまでのお話を踏まえると、やはり日本は独りよがりな国なのでしょうか。

木原:そうだと思います。学生を見ていて思いますが、やはり日本は暮らしやすいから積極的に出て行こうとしないんですね。それはとてももったいないことだと思いますし、日本から人が外に出て行かない状況が続くと、国民一人ひとりの力が弱くなってしまう。

河合:いつまでもぬるま湯に浸ってちゃだめ、ということですね?

木原:そう。一人ひとりが自分自身で国際社会に出て行って、自分の主張を通せるようにならないといけないし、そうなって欲しいと思います。

河合:それは、やはり必然性に駆られないとできないことでしょうか。

木原:できない、できない。だからもう、無理矢理にでも外に出すっていうのが本当は必要だろうなと思いますね。

河合:私は幼い頃に少しアメリカに住んでいましたが、学校で、きちんと主張したり発言したりしないとまわりに置いて行かれる思いをしたのを今でも覚えています。

木原:そうでしょ。あっちだと、主張しないとその場に存在しないのと同じですからね。

河合:木原先生、本日は長時間誠にありがとうございました。

木原:こちらこそ、ありがとうございました。

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