第126回ICB講演会 「人類進化の道筋と現代社会とのミスマッチ」

12月の講演会は、12月10日(水)に人類の進化を研究する立場から現代社会に対して提言を続ける長谷川眞理子先生をお迎えして、対面での講演会を行います。

長谷川先生は行動生態学や自然人類学を専門とされる人類学者であり、「オスとメス=進化の不思議」など極めて興味深い著作を数多く発表されている方です。我が国では数少ない女性の国立大学学長として総合研究大学院大学学長を務められました。

今回の講演会では、これまでの先生の研究生活を振り返り、どのような経緯でご自分の研究分野に興味を持たれたのか、研究の過程での苦労をどのように克服されたのか等について実体験を踏まえたお話を交えつつ、ご専門の立場から現代社会の様々の問題に関してどう考えるべきについてのヒントを分かり易く教えて頂けると思います。

これまでのICB講演会としては異色のテーマとなりますが、皆さんが客観的に自分を見つめ直す機会となり、これからの人生を考える上で有益なアドバイスを頂けることでしょう。また、女性が活躍する社会を目指して活動されてきた長谷川先生のお話しを直接伺える貴重な機会となることも期待できます。皆さん奮ってご参加ください。

「講演概要」として講師ご自身から以下のお言葉を頂戴しています。

人類とは、常習的に直立二足歩行する類人猿の仲間である。

およそ600万年前に、現在のチンパンジーの系統と分かれた。その後、さまざまな人類が進化したが、私たち自身と同じ属であるホモ属は、およそ250万年前にアフリカで進化した。私たち自身であるホモ・サピエンス(ヒト)が進化したのは、やはりアフリカで、およそ30万年前であったが、およそ7万年前から全世界に拡散した。

ヒトは、長い間、狩猟採集で生活してきたが、およそ1万年前に農耕・牧畜・定住生活を始め、250年前の産業革命では自前のエネルギー源を開発し、こうして急速に生息環境を改変してきた。そして、文明を築き、大人数で暮らす社会を作り、科学と技術が一体となってイノベーションを起こしてきた。

しかし、からだの構造と脳の働きの基本は狩猟採集時代に作られたのであり、いまだに狩猟採集生活の名残を背負っている。そこで、現代生活には、からだと心と、現代環境との間にさまざまなミスマッチが起こっている。現代社会のさまざまな問題を解決する上では、まずはこのミスマッチを認識することが大切であると思うので、その概要について話したい。

【講師略歴】

1976年3月 東京大学理学部生物学科卒業
1983年3月 東京大学大学院理学系研究科人類学専修課程単位取得退学
1986年3月 東京大学理学博士取得
1980年6月~1982年5月 国際協力事業団派遣専門家、タンザニア共和国天然資源観光省野生動物局勤務
1983年4月~1990年3月 東京大学理学部助手
1987年9月~1988年12月 ブリティッシュカウンシル奨学金により、英国ケンブリッジ大学動物学教室特別研究員(ダーウィン・カレッジ・フェロウ)
1990年4月~1996年3月 専修大学法学部助教授
1992年、1994年 アメリカ合衆国 エール大学人類学部客員準教授
1996年9月~1997年8月まで 専修大学在外研究員として英国ケンブリッジ大学動物学教室特別研究員 (キングス・カレッジ・フェロウ)
1996年4月~2000年3月 専修大学法学部教授
2000年4月~2005年12月 早稲田大学政治経済学部教授
2006年1月~ 総合研究大学院大学先導科学研究科教授
2017年4月~2023年3月 総合研究大学院大学学長
2023年4月~ 独立行政法人日本芸術文化振興会理事長、都立医学総合研究所客員研究員、総研大名誉教授

【主要著書】

美しく残酷なヒトの本性 ―遺伝子、言語、自意識の謎に迫るー (PHP新書 2015)
進化的人間考(東京大学出版会 2023)
オスとメス=進化の不思議(ちくま文庫 2023)
私が進化生物学者になった理由 (岩波現代文庫 2021)

講演会の概要

(日時)2025年12月10日(水) 19:00-20:30
(場所)ちよだプラットフォームスクウェア 401号室
    アクセス情報
(最寄り駅:地下鉄 竹橋、大手町、神保町、小川町など)
(参加費)1000円(学生無料)

懇親会について

講演会終了後に近くの飲食店において、講師をお招きした懇親会を開催する予定です。
ざっくばらんな会話を楽しめる時間となっておりますので、是非ご参加ください。(飲食代は実費負担)

主催

NPO法人 国際人材創出支援センター (ICB)

お申し込みはこちらから。

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