第131回ICB講演会「国際人材育成について思うこと– 国際機関勤務12年及び議長職等の経験から」

9月の講演会は、9月1日(火)に旧大蔵省および金融庁で長年金融行政を担当するとともに、OECD(経済協力開発機構)及びWTO(世界貿易機関)の事務局に合計12年間勤務されるなど幅広い国際的な活動の経験をお持ちの、河野正道さんをお迎えして対面での講演会を行います。

河野さんは1978年に大蔵省に入省し、入省後3年目の1980年にOECDに出向され、4年間にわたり経済統計局(当時)において経済見通しの策定や経済分析、原油市場・価格などを担当されました。また、1995年には発足したばかりのWTO(世界貿易機関)のサービス貿易部参事官として、ウルグアイラウンドの金融サービス交渉の事務局における責任者を務めておられます。その後、2016年に退官するまで、金融庁の国際部門の責任者を7年間にわたり務め、IOSCO(証券監督者国際機構)の初代ボード議長、FSB(金融安定理事会)のアジア地域諮問会合の共同議長を務められるなど、世界金融危機後の国際金融規制・監督の改革及び各国における金融規制改革のサポート等に従事されました。

退官後には、OECDの事務次長を4年余り務められ、金融・環境・貿易・開発・科学技術などの政策分野を担当されるとともに、東南アジア諸国のためのOECDのプログラム等にも従事されました。現在も国際会計基準及び国際サステナビリティ開示基準を策定しているIFRS財団の副議長を務めるほか、三菱UFJ銀行顧問としてグラスゴー金融同盟(GFANZ)のアジア太平洋ネットワークの諮問委員会メンバー等として、国際的な活動を継続されています。

今回の講演会では、長年にわたる国際機関勤務及び国際的な会合における議長職等のご経験から、日本における国際人材の育成について思うこと、国際人材育成の障害などについてお話をいただきます。

今回の講演に当たり、講師ご自身から以下のお言葉を頂いています。

「私は長い役所でのキャリアを通じて、決していつもポストに恵まれたわけではなく、大蔵官僚としてはむしろ異色とも言える経歴を経てきました。その中で、金融行政の第一線で金融危機に何度も遭遇しましたが、危機対応に追われる中で、公務員として自分の仕事に全力を尽くすことで、ピンチがチャンスに変わる経験をしてきました。
 私は大蔵省・金融庁でのキャリアにおいては、当初は国内業務を担当することが多かったのですが、その経験が国際部門の担当になってからおおいに役立ちました。自慢にはなりませんが、修士号も博士号も持たずに国際機関に合計12年間務め、最後はOECD事務次長を経験できたことは幸運でした。
 こうした経験から、予断を持たずに、そして既成の枠にとらわれずに、自分の専門性を磨くことが、国際的に活躍するためのベースになることを実感しました。日本の企業・官庁の人事制度、あるいはその前の学校教育などは、これまでは国際人材の育成にとって障害となることが多かったのですが、今日、これも変わりつつあります。個々人にチャンスが与えられ、キャリアの選択肢が増える経済・社会、これこそが日本の国際人材の増加にとって追い風になると信じています。
 国際的な仕事は決して楽しいことばかりではなく、様々な苦労もありますが、その苦労を上回るやりがいと人生の豊かさをもたらしてくれる可能性に満ちたものであることを実例をもとにご紹介したいと思います」

河野さんが雑誌『企業会計』2024年1月号に寄稿された「企業会計の国際化と国際人材の育成」もこちらから併せてご覧ください。

本講演会は、国際機関に勤務してみたい、あるいは企業・官庁で国際業務に従事してみたいと思う方のみならず、グローバルな場での活動を目指す多くの方々にとって大変参考になることでしょう。

お知り合い、ご友人とお誘いあわせの上、奮ってご参加ください。

【講師略歴】

1978年  東京大学 法学部卒業。大蔵省主税局入省
1980~85年  経済協力開発機構(OECD)事務局派遣
1985~95年 大蔵省銀行局・証券局・保険部、経済企画庁物価局で行政実務に従事
1995~99年 世界貿易機関(WTO)事務局派遣(サービス貿易部参事官・金融サービス貿易委員会書記官)
1999年  金融監督庁長官官房企画課長
2000~08年 金融庁総務企画局、監督局にて行政実務に従事
2009年  金融庁総括審議官(国際担当)
2012年  金融庁国際政策統括官
2014年  金融庁金融国際審議官(初代)
2016年  金融庁退官
      コロンビア大学国際公共政策大学院客員研究員等に従事
2017~21年  経済協力開発機構(OECD)事務次長
2021年  IFRS財団トラスティ(現職)
      三菱UFJ銀行 顧問(現職)
  三菱UFJフィナンシャル・グループ・グローバルアドバイザリーボード委員(現職)2023 年  グラスゴー金融同盟(GFANZ)
  APACネットワーク諮問委員会 委員(現職)
2024年 International Transition Plan Network(ITPN) アドバイザリーグループ メンバー(現職)
2025年  IFRS財団  副議長就任(現職)

【参考文献等】

・金融庁HPに掲載されたオーラルヒストリー

世界的な金融危機後の国際金融規制改革において交渉にあたった経験等をインタビュー形式で語ったもの。インタビュアーは、前半が三村淳氏(現 財務官)、後半は氷見野良三氏(現 日銀副総裁)。

https://www.fsa.go.jp/common/about/kaikaku/openpolicylab/kono_oral.pdf

・外務省が作成したOECDと日本のかかわりに関する紹介パンフレット(2019年版)
最後のページにメッセージを寄稿しました。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000471199.pdf

・コロンビア大学の研究員として在任中に書いた論文で、金融関係の国際機関のガバナンス改革を提言するものです。10年近く前に書いたものですが、今日においても妥当する内容が多く含まれていることに著者自身が驚いています。

https://academiccommons.columbia.edu/doi/10.7916/v5eq-cx35

講演会の概要

(日時)2026年9月1日(火) 19:00-20:30
(場所)ちよだプラットフォームスクウェア 401号室
    アクセス情報
(最寄り駅:地下鉄 竹橋、大手町、神保町、小川町など)
(参加費)1000円(学生無料)

懇親会について

講演会終了後に近くの飲食店において、講師をお招きした懇親会を開催する予定です。
ざっくばらんな会話を楽しめる時間となっておりますので、是非ご参加ください。(飲食代は実費負担)

主催

NPO法人 国際人材創出支援センター (ICB)

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