第91回ICB講演会:橋本 明 先生「電波」の世界でグローバル社会と向き合う ~無線通信の国際標準化に取り組んだキャリア~

令和2年、東京オリンピック、パラリンピックの年最初の講演会は、NTTドコモで長年に亘り無線通信技術の研究と開発に携わり、国際機関でも我が国を代表して活躍してこられた橋本明さんの登場です。
目には見えませんが私たちの身の回りには様々な電波が飛びかい、生活の欠かせない一部となっています。また、話題の5Gなど、社会における重要度は増加する一方です。その恩恵は計り知れませんが、これだけの電波が混線も起こさず当たり前に利用できるのは有限の資源である周波数の厳しい管理がなされているからであり、これは国内はもとより国際的にも大変な労力を要する分野です。
日進月歩の無線通信技術に40年近くも関わり、特に各国の国益がもろにぶつかる国際ルール作り、標準化の作業に当事者として取り組んでこられた経験はグローバルに活躍する夢をお持ちの皆さんに格好の教材となるに違いありません。
ぜひ奮ってご参加ください。

講演会の概要

〈日時〉 2020年1月22日(水) 19:00~21:00
※今回の講演会は19時開始となりますのでご注意ください。
〈場所〉 東京都千代田区神田錦町3-21
千代田プラットフォームスクウェア(http://yamori.jp/access)
〈参加費〉ICB会員1,000円、非会員2,000円。※学生は無料

講演概要

現代社会では様々な用途に電波が使われています。毎日使う携帯電話、テレビジョン放送、高速道でのETC、遠い宇宙の惑星に到達する人工衛星のコントロール、これらは全て電波を用いる技術です。私は長らくこの電波の使い方に関する国際規則、国際標準を定める会議に日本代表として出席して来ました。
この会議を主宰するのは国連専門機関の一つ国際電気通信連合(ITU)です。私がITU会合に初めて出席した1980年には、所属会社のNTTで無線通信方式の開発・設計に従事していましたが、偶々配属先がITUの会議に出るポストであったので出席の機会に恵まれました。
その後NTTの民営化、ビジネスのグローバル化、さらに携帯電話等、新しい電波需要の拡大とともに、無線通信の標準化活動の重要性が認識され、会議出席者を固定するように会社の方針が変わりました。そのため私は継続的に参加することになり、1985年頃から会議取りまとめ役として各種会合の議長を経て、2007‐2015年は移動通信等を所管する研究委員会議長を務めました。この間、国家間、業界間の利害が関わる多くの会合を経験しましたので、
本講演では、国際標準化の意義、標準・規則採択のプロセス、会議での議論のポイント、第5世代携帯電話等新技術の動向についてお話いたします。

講師略歴

1970年 東京大学工学部電気工学科 卒業、同年NTT入社
技術局無線部門等で無線中継方式の開発・設計に従事
1987年 郵政省通信総合研究所(出向)統合通信網研究室長
1995年 NTTワイヤレスシステム研究所無線方式研究部長
1997年 NTTDOCOMOへ異動
1998年  同社 無線リンク開発部長
1999年  工学博士(東京大学)
2001年  同社 無線標準化推進室長
2016年  同社 標準化カウンセラー(現職)
この間1980年より継続的にITU無線通信部門(ITU-R)の会合に日本代表として参加。
1991年 ITU-R第9研究委員会作業部会9B議長(無線アクセス方式担当)
2000年 ITU-R第9研究委員会副議長
2007年 ITU-R第5研究委員会議長(移動通信を含む地上無線業務)
2015年 ITU無線通信総会議長を経て、第5研究委員会議長を退任
2018年 ITU Radio Regulations Board(RRB)(*)委員に選任
総務省情報通信審議会専門委員
(*)ITU RRB: 電波に関する国際紛争の裁定、国際規則適用の方策などを担当する委員会

懇親会について

講演会終了後には懇親会を行います。
近場の飲食店にて講師をお招きし、ざっくばらんな会話を楽しめる時間となっております。
先生と直接議論できる場として皆様にご好評いただいております。
ぜひご参加下さい。
※費用は飲食費代の実費です。
※講師のご都合によっては、講師抜きでの開催となる場合もございます。
※懇親会のみのご参加も歓迎いたします。

主催

国際人材創出支援センター(ICB)

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