ICBコラムVol.7:入社式シーズンに想う(理事長:松平恒和)
こんにちは。ICB事務局です。
4月に入り、街のあちらこちらでリクルートスーツに身をまとった新入社員と思わしき人を見かける季節となりました。
ICBコラムVol7
今回は松平理事長が日本の雇用について思う所を述べます。
入社シーズンに思う
ICB理事長 松平恒和
ようやく花もほころんだ本年4月1日。今年も一斉に入社式、入省式、入ナントカ式が行われた。壇上にはお偉いさんが居並び、国旗、社旗などが掲げられている。トップの訓示に続き新入社員代表による決意の言葉が述べられる。我が国のこの季節の風物詩ともいえる行事だ。フロアに居並ぶ若き面々はほぼ例外なく男女ともダークスーツに身を包み、慣れない黒の革靴をはいている。長髪、茶髪はいない。50数年前、私が経験した入社式と大して変わりはない。数年前、ICBで講演したStephen Givens弁護士がこの光景を「大人しい羊の群れ」と形容した。日頃からダイバーシティとか個性尊重とか言っている割にこれはユニフォーミティ以外の何物でもない。
一方で、50年前と明らかに違うのは離職率だ。入社3年以内の離職率は3割、業種によってはそれ以上にも及ぶと聞く。中途採用やジョブ型採用ももはや珍しくないようだ。以前は同じ会社に長く勤めただけで永年勤続表彰などというご褒美がいただけたものだが今は反対に早期退職すると退職金の割り増しという恩恵を受ける。
入社式に始まり、終身雇用、年功序列、定年制、定期人事異動といった日本の企業文化は今後ますます失われていく気配だ。それによって国際競争力が増し、ダイナミックな経済が実現するならば喜ばしい限りだが、定年退職後十数年を経てもいまだに会社時代の思い出を肴に飲み会を開く会社同期入社の集まりは楽しく、そんな場を持てなくなる現役世代はちょっぴり可哀想な気もする。